2026年9月12日、NAHAマラソン本番まであと85日。夕暮れの新都心公園で、僕は自分の中で一つの大きな壁だった「5kmを立ち止まらずに走り切る」という目標を達成しました。

この記事では、50代・運動経験ゼロだった僕が、5kmを37分58秒で走った日の実際のペース、スマートウォッチで計測した心拍データ、身体の状態、そして翌日に起きたリアルな変化をすべて記録します。

世の中には「50代初心者が知っておくべきランニングのコツ」といった一般論が溢れていますが、ここでは一切の説教を排除します。僕がどんな状態から走り始め、何週間かけて5kmに到達し、その結果身体がどう悲鳴を上げたのか。同じようにこれから走り始めようとしている同世代の方にとって、机上の空論ではない「泥臭い判断材料」の一つになれば幸いです。

1. 1kmすら走れなかった僕が、5kmに辿り着くまでの道のり

僕は最初から走れたわけではありません。本州から那覇へ転勤してきた当時は体重が72kgあり、自宅マンションの階段を上がるだけで息切れする状態でした。まずは食事を腹八分目に抑え、歩くことから始めて体重を60kgまで落としたのが、すべてのスタートラインです。

「身体が軽くなったから、少し走ってみよう」

そう思い立って新都心公園へ出向いた最初の日、僕はわずか500mで心臓が喉から飛び出そうになり、足を止めてしまいました。長年運動をしてこなかった50代の心肺機能と足腰は、12kgの減量だけでは「走る準備」が全く整っていなかったのです。

そこから僕は、見栄を張るのを完全にやめました。

  • 最初は「歩き」を混ぜる: 1km走って苦しくなったら、無理せず500m歩く。これを繰り返しました。
  • 頻度は週2〜3回に固定: 毎日走ろうとすると関節が痛むため、必ず休足日を挟みました。
  • 約3ヶ月かけて距離を伸ばす: 1km、2km、3kmと、2週間ごとに少しずつ走る距離(歩かずに済む距離)を伸ばしていきました。

この泥臭い試行錯誤を約3ヶ月続けた結果、ようやく「今日は5kmいけるかもしれない」と思える土台ができあがったのです。

2. いざ5kmへ。新都心公園での実測データと心拍のリアル

9月12日の夕方。まだアスファルトに熱気が残る新都心公園のゴムチップコースを、僕はゆっくりと走り出しました。今回、5kmを走り切った実際のデータは以下の通りです。

  • 走行距離: 5.00km
  • タイム: 37分58秒
  • 平均ペース: 1kmあたり7分40秒

「1kmを7分40秒」というペースは、颯爽と走る市民ランナーから見れば早歩きと大差ない遅さです。実際、公園のコースを何人ものランナーに追い抜かれました。しかし、僕はこのペースを絶対に上げないよう、スマートウォッチ(Fitbit)の画面を何度も確認しながら進みました。

僕のFitbitには、この日の平均心拍数が「142」、最大心拍数が「158」と記録されていました。

僕の年齢と体力において、この心拍数は決して「楽に会話ができるペース」ではありません。3kmを過ぎたあたりから呼吸は荒くなり、首筋からはとめどなく汗が流れ落ちました。「少し歩いてしまおうか」という誘惑が何度も頭をよぎりましたが、「心拍が160を超えたら歩く、それまではこのノロノロペースを維持する」と自分に言い聞かせ、ひたすら腕を振って前へ進み続けました。

世間のランニング情報では「キロ8分なら心肺機能が強化される」といった言葉を見かけますが、僕の体感としてはそんな余裕はありませんでした。ただひたすら自分の限界ギリギリのラインで、心臓をバクバクさせながら耐え抜いた37分間でした。

3. 走り終えた直後と、翌朝の身体に起きた「変化」

スマートウォッチが「5km」を通知した瞬間、僕は足を止め、ベンチに崩れ落ちました。肩で息をしながら、ウェアから絞れるほどの汗を流し、しばらく動くことができませんでした。しかし、その疲労感の奥には「50代の僕でも、37分間一度も立ち止まらずに動き続けられた」という、静かだけれど確かな達成感がありました。

問題は、翌日の身体の状態です。

翌朝、ベッドから起き上がろうとした瞬間、太ももの前側(大腿四頭筋)とふくらはぎがパンパンに張り詰め、ひどい筋肉痛に襲われました。階段を降りる時は手すりにつかまらなければならないほどです。

さらに気になったのは、筋肉痛とは違う「関節の違和感」でした。左膝のお皿の奥や、足首の周りに、ギシギシと軋むような鈍い重だるさが残っていたのです。「ここで無理をして明日も走れば、確実に怪我をする」と本能的に感じました。

50代の身体は、回復に驚くほど時間がかかります。僕は迷わずその日から2日間、走ることを完全に休みました。休日は首里の坂道をゆっくり歩く程度に留め、関節に溜まった熱や違和感が引くのをじっと待ちました。この「5kmの代償」を味わったことで、僕はフルマラソンの42.195kmという距離が、今の自分にとっていかに恐ろしい未知の領域であるかをはっきりと悟ったのです。

4. まとめ:37分58秒の記録を胸に、次のステージへ

今回、5kmを37分58秒で走り切れたことは、72kgの頃には想像もできなかった大きな前進です。運動経験ゼロの50代でも、時間をかけて少しずつ準備をすれば、ここまで来れるのだという自信になりました。

しかし、翌日の身体の悲鳴が教えてくれた通り、僕の関節はまだまだフルマラソンの衝撃に耐えられる強度ではありません。距離を伸ばすことの恐ろしさも、同時に痛感しました。

NAHAマラソン本番まで、時間は確実に減っていきます。次は「7km」という未知の壁に挑むことになりますが、今回の5km走で得たデータと筋肉痛の教訓を忘れず、決して無理をせずに自分の身体と対話しながら進んでいこうと思います。シャワーを浴びながら見つめた、少しだけ引き締まった自分の脚。その小さな変化が、明日への確かな活力になっていました。